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コロナ禍において7月に突入し「私達は現在どの地点におり、どこに向かっているのか?全く未透視がつかない漠然とした未来のイメージしかもてない」状況に陥っている。大手メディアから小さなメディアまで経済記事の内容は「リーマンショックよりは深刻で世界大恐慌の数字には至っていない」という範囲内で語られている。

それは主に2つの国際機関の予測に基づいている。『コロナショックで世界経済が急速に冷え込んでいる。空前の規模で生産活動が停滞、雇用に深刻な影響が出始めた。世界銀行は「第2次大戦以降で最悪の不況」を予測。国際通貨基金(IMF)は「(1930年代の)世界恐慌以来、最悪の不況」を警告』

しかし、この予測は世界的に先進国を中心にロックダウン解除後、経済活動の順調な回復を前提とした20202021年の予測であり、73日の段階で米国、中国、オーストラリア、タイ、など次々と地域別に再規制やロックダウンがはじまっている。各国で起こっているウイルスの変異とワクチン開発、第2波、第3波など疫学的側面からのネガティブ要素だけでもすでに黄色や赤信号の領域に進んでいる。(疫学的側面以外にもネガティブな要素を想定できる)

また経済的認識だけでも「この混乱と困難は、リーマンショックに始まりコロナショックで急激に悪化している」と考えるのが正しい視座と思える。よって2020年末や2021年には世界銀行や国際通貨基金IMF『(1930年代の)世界恐慌を超える史上最悪の経済危機』と警告する可能性がある。

歴史的も前例にない広い地域で最大規模の世界大恐慌のような経済危機が発生し継続するとすれば、各国の経済対策は困難となる。恐慌が停滞してしまう国家の国民は長期間に失業問題など悲惨な社会生活を強いられる。これが全世界同時に各国で経済困難を抱え、ある国はニューディール政策などの財政出動政策や軍事拡大でクリアできるかもしれないが、クリアできずに経済困難で停滞してしまう国が多く出てしまうことは予測できる。

すでに米国の議会から国民、中国では政治家や役人やメディアは米中激突に向かい、批判や不満から憎悪蓄積の段階に向かっている。今後世界中で国際問題が起こるので、大国の仲裁か国際機関の仲裁しか期待できないが、現時点で中国、米国、国連の国際問題仲裁は機能不全と言ってよい状態にある。

恐慌や戦争のメカニズムは十分には解明されていないと考えられるが、恐慌を含む1873年ー1896年の大不況回復期から第一次世界大戦までおおよそ18年の時間間隔があり、世界大恐慌の回復期から第二次世界大戦まで5-6年程度(米国)と仮定すれば、恐慌や大不景気の回復期から一定期間(518年)のちに世界大戦が勃発している。2つの世界大戦だけだが、恐慌真っ最中には戦争は起こらず、その後の回復期に経済的・政治的・軍事的な国家拡張をはっきりとした政策とし実行する国家が出現し、周辺国家は抑え込もうとし世界大戦へ。

いずれにせよ恐慌期を勢いを加速させ経済回復に成功させた国家は、恐慌期の国民の悲惨な体験を背景・教訓として強い経済獲得のため、軍事拡張を準備していく。仮説でしかないが恐慌期の悲惨な想いのトラウマ体験が国内や国外に対しても脅迫的な国家正論を形成していく過程があるのかもしれない。そのような国家が一部形成されれば、周辺国家は抑え込みを始めるが、恐慌や大不景気からの回復期であり、危機感も薄れており基本的に「楽観論」が支配し、隣国の本気モードの戦争準備行為に気が付かない(気が付いても宥和政策=楽観主義と平和主義の空気が支配)よって一部の拡張を目指す国家は、戦争実行計画を立てることができるようになる。恐慌回復後の楽観論によって軍事バランスが崩れる。少数のトラウマを抱えた拡張主義国家と多数の楽観論平和主義国家が戦争を引き起こすのかもしれない。

現在のコロナショック後に世界恐慌が発生するとすれば(現在も?)何年かの世界恐慌や大不況収束後、一定の期間をおいて第三次世界大戦が勃発するかもしれない。直観的な仮説にすぎないので、また「恐慌中に戦争は起こらない」とイメージしているが、コロナ恐慌中に戦争が勃発するかもしれず、2020年中、もしくは10年後の2030年に戦争が勃発するかもしれない、もちろん全く予測できない。

しかし、現在の米中覇権激突を両国が経済制裁から熱くなりかけている様子は、過去2回の世界大戦前ではいかなる段階と比較視することができるか?1929世界大恐慌から第二次世界大戦勃発まで10年間。日本がロシアを避けて通れない敵国として判断してから日露戦争勃発まで10年間。米軍は2010年代より、米中の大規模戦争を想定し「エアシーバトル作戦構想」を着々と準備しており、2030年に開戦設定のシュミレーションであったが、コロナショックで開戦のシュミレーション時期が前倒しされる可能性が高まっている。米国が中国を明らかな敵国と判断し作戦を準備して10年経過した。

2018年のペンス副大統領の中国封じ込めの演説から、2019年中国はあらゆる妥協点や手打ちを交渉してきたが、米国は一方的に制裁を推し進め、中国も米国に敵視政策を変更させることはできないと確信していた。実際のところ米国は「中国が二度と覇権国家を目指せない状態になるまで、経済制裁から軍事行動まであらゆる方法を使う」これが完了するまで妥協することなく行動することは政府より米議会が強く推し進めている。よって米国にも多くの損害がでるからそこまでやらないでビジネス的に手打ちをする、このような視点は2019年末には全く無効となっており、こんなタイミングでコロナショックが発生し、6月のハワイ会議では交渉決裂状態であり、米中の激突は香港問題から飛躍的に資産凍結から開戦寸前までの姿まで想像させた。事実、トランプは国交断絶を臭わせる表現も投稿していた。米政府は国交断絶しても構わないと覚悟していたし、太平洋に同時に3隻の空母を待機させる開戦準備のごとく異例の軍事行動も進めていた。

元自衛隊西部方面総監の用田和仁氏は、2019年の台湾と米軍の演習訓練に同行した際、「米軍の演習としての「本気度」を肌で感じ、繰り返しは表現しないが、明らかに本気(完全に実戦準備)の演習を展開していた」と発言し、米軍はすでにインド太平洋において本番を想定した本気の準備をはじめていることがはっきり伝わる。6月末からだけでも米国、台湾、オーストラリア、インドなどエアシーバトル(現在はJAM-GC)の米国同盟側は対中国の姿勢を鮮明にし、インドもオーストラリアも、軍事費の増額と兵器大量購入を決定している。(インドに至っては山岳で紛争がはじまっている)コロナショックによって開戦のタイミングが早期に繰り上がってしまう空気が強まっている。

第三次世界大戦の中心と思える、米中戦争は覇権国家間の戦争であり、「戦争が不可避な状態まで従来の覇権国家と、新興の国家がぶつかり合う現象」であり「トゥキディデスの罠」と言われ、地政学では使用頻度の高い概念であり、ハーバード大学ケネディ行政大学院のグレアム・アリソン教授は過去500年、台頭する大国が既存の大国と戦争になったのは16ケース中12ケースだった。すなわち75%がトゥキディデスの罠にはまり覇権戦争に至った。今回の米中衝突は覇権戦争に至るか否か?

もともと75%と高い確率で戦争になることが前提だが、米中激突に関しては2019年までは「わからない、半々とか、将来にはぶつかるかも」という予測が多かったのかもしれないが、コロナショックのあと、専門家でさえ「90%とか、タイミングをまつだけ、エスカレーションは軍事衝突まで止まらない」など米国では国内の暴動も広がり、何がおこっても不思議はないという市民の意識に、議会や行政は粛々と戦争準備を進め、香港国家安全維持法を根拠に制裁や対立にさらなるエスカレーションを起こし、中国軍の暴発を待ち構えているようにも見える。

今後も米国は挑発外交を織り交ぜ、中国の軍事行動を誘発していく。今後、中国側の打開交渉にテーブルにはつくが、本質的には一切取り合わず見せかけの成果のみで、最終的には「ハルノート」で南沙諸島から出ていくこと、海軍・空軍の抑制、核武装の放棄と視察、長・中距離弾道ミサイルの撤去と視察や米軍の大陸駐屯など、武装解除と米軍の中国国内駐屯など、中国政府が120%飲めない交渉を要求し、最後通牒として開戦に至る可能性が高い。現在の国務長官なら「ポンペオノート」だろうか。

「恐慌中に戦争は発生しない」というイメージが間違っているのなら、恐慌中も含む2020年から2025年の早期にトゥキディデスの罠にはまり米中開戦に移行しても全く驚かない。今後、津波や南海トラフ地震より、大きな被害を出す可能性が高い米中戦争の想定もして、日常生活に「避難先の研究」などの具体的準備をして行く段階に入ったと感じています。

よって個人的な見解として「世界恐慌」「米中戦争」や「第三次世界大戦」の危機はいずれも突入する可能性は高く、今後より高まって行き、現時点ですでに回避が難しいと感じています。漫画や映画の世界ではなく、粛々と進行し近く、現実に発生し多くの日本人が巻き込まれるので想定と準備は必要と考えます。
新型コロナウイルス対策に年間数万人の命を守るために政府や国民は戦時中のように深刻に莫大な予算と時間と神経を投入しているが、年間数百万の命を守るための「米中戦争と日本の対応」を政府から国民まで全く議論されていない現実は、「日本が命を守る」ことの本質的な論議を意識・無意識的に避けタブー領域を創っている事実であり、単純に「政府や国民として明らかにバランスを欠いていた」と歴史家の多くは後に記述すると確信します。

※追伸 以下、最近は世界中で以下のごとく第三次世界大戦のリスク回避のため「新しい連帯」を訴える論文や投稿が多い。
【世界は第1次大戦以来の岐路にある】イーブス・ティバージェン:ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)教授
「近代文明を支える結束は不信、誤解、恐怖によって崩壊する。1914年に起こった出来事だ。その夏、欧州は戦時体制に染まっていった。2020年も似たような状況にあるのかもしれない。1918〜20年のスペイン風邪以来となるパンデミックは、世界的な構造危機へと急速に変異しつつある。冷戦後で最も危険な地政学的衝突が勃発するリスクが高まっているのだ。新型コロナの感染が広まると、世界の3分の1が封鎖され、大恐慌以来の不況となった。危機が今後どう展開するかは世界的な指導力に懸かっているが、世界にはその指導力がない…………」
上記、総論は正論に思える。あらゆる国際的政治的連帯を多数の学者や国際機関が危機的に提唱しているが、現実にリスク回避に有効と思える記事にあたることは残念ながら少ない。巨大な熱火力エネルギーを前に解決策はすべて溶かされてしまう感がぬぐえない。