
想定外であっても、津波のごとく突然やってくる。国民にとって侵略や植民地化の危機の可能性に対し、国家に想定外があってはならない。
米国のハーバード大学グレアム・アリソン教授は以下説明をする。
私がで指導する「トゥキディデスの罠プロジェクト」では、過去500年の歴史を調べ、新興国が覇権国の地位を脅かしたケースを16件見つけた。よく知られるのは、100年前に工業化して力をつけたドイツが、当時の国際秩序の頂点にいたイギリスの地位を脅かしたケースだろう。その対立は、第一次世界大戦という最悪の結果を招いた。このように戦争に行き着いたケースは16件の対立のうち12件で、戦争を回避したのは4件だけだった。現代の米中関係の先行きを考えるとき、あまり励みになる数字ではない。
すなわち歴史上の覇権戦争を観ると、戦争が実際し激突するか否かは「トゥキディデスの罠」の研究によって75%であった。よって米中も75%と参考にして考えられる、グレアム・アリソン教授は、この覇権戦争の勃発率の高さを、あまり励みになる数字ではない・・・かなり高い可能性で悲観してしまう、と表現している。
米ソ冷戦と比べても、ソビエト連邦は経済力において米国のライバルではなかったが、米中は経済力も軍事力も拮抗に向かっている。ザックリ観てもヨーロッパ内のスペインからイギリスや米国までの覇権移行は、欧米文化内で行われたが、米中は全く異なった文化や地域での覇権争いであり、これが過去の75%にどう影響するかは、まだわかっていない。米ソ冷戦が激化し深刻化したのは貿易などによる経済の結びつきがなかったなどの指摘もあるが、経済的結びつきや貿易による相互依存度が高い場合でも、政治的軍事的理由によって突然戦争が起こってしまうことは、この100年の多くの国で確認されており、米中日などが経済的に高いレベルの相互依存していることが、戦争にならないことは全く根拠にならない。むしろ夫婦喧嘩のように相互依存が高いからこそ、深刻な衝突を招きやすいとも考えられる。もちろん正確な数字などわからないが、今後「覇権」の色合いが深まるほど、衝突する可能性も高まる深刻な時代であると認識すべき。
今後、米国の「経済と軍事」の復活や強化が成功しなければ、中国の東アジアをはじめアジア地域の「覇権」は2030年前後にも確立してしまう可能性がある。米国経済がどの程度復活するか、米国の軍事力と同盟国がどの程度、東アジアで充実するか、両方の成功があってやっと現状維持でき、台湾も侵略されないのでないか。米国の「経済か東アジアの軍事力」どちらかでも失敗すれば、米国は2030年前後には実質的にアジアからの軍事力の撤退をはじめてもおかしくない。もちろん奇跡的に日本が目覚め、経済力も国防も充実できれば、日本だけでも日本を守ることが可能となるが、現在では夢のまた夢。
米国と中国、敵国の喉元にある日本。2030年には米国は台湾をも守ることが不可能となり、かつ、米中覇権戦争のメインの戦場は欧米ではなく、アジアの可能性アが高く・・・・2030年以降、朝鮮半島か日本が衝地帯件、最前線の戦場となる可能性がある。(米中本土決戦の前段階)
仮に米中が直接、戦争に至らなくても、大国間にある小国が緩衝地帯となり、代理戦争で絶えず不安定であり、大国の一方に占領され、大国に分断され同じ民族で憎しみ合い殺し合うのは歴史的には枚挙にいとまがない。日本がこのまま没落が止まらず、貧国弱兵の国家に至り、米国がアジア地域から軍の撤退を決定したあとは、東アジアは中国の地域覇権が確立し、日本は米国との軍事同盟が形骸化して行き、米中大国間の一小国の立場に転落したことが明らかになる。
しかも、今までの敵大国の喉元にある地域で。この場合、日本は中国と平和的な方向で戦争にならないとしても、すでに貧国弱兵に進んでいる日本が、中国の喉元で、かつての経済的繁栄を取り戻すことは、夢のまた夢であり現実的ではない。
第2次世界大戦後の大国ソビエト連邦の喉元にあったフィンランドのように、大戦中はソビエト連邦を敵としたが、戦後大国ソ連の影響を受け、米国のマーシャルプランの復興支援もNATO加盟もできず、かつソ連のワルシャワ条約機構にも加盟せず、大国間の小国として経済的繁栄を逃し、軍事的にも不安定であり、大国ソ連が崩壊するまでソ連の顔色を伺うことで生き残ることができた。米国が東アジアから撤退した際には、日本は戦争に巻き込まれなくても、軍事的、政治的、経済的に制約をされた中で、中国の顔色を見て生き延びるしかない国となる。
覇権戦争に日本が運よく巻き込まれない場合、大国によって政治経済が抑制され、フィンランドを例に出したが、現在の日本と戦後のフィンランドを同質とするのは無理がある。大国間の小国の運命や大国の喉元にある小国で、支配されず、支配されても抵抗し、独立を維持した歴史をもつ、フィンランドやベトナム、キューバなど観ると、現在の日本とは決定的に違うものを感じ、日本に決定的に欠落しているものがある。
ヨーロッパのフィンランド、東南アジアのベトナム、中南米のキューバは、隣国に敵国もしくは旧敵国があり影響下に置かれ悲惨な時代を経験した。それでも植民地にもならず、滅亡もしないで独立を維持した。三カ国とも徴兵制である。小国だから大国の忖度で軍事力を削ぐことはない。大国相手といえども、理不尽にどうしても攻めてくるなら反撃して必ず抵抗する意思と準備をしている。その上で政治外交ではギリギリの決断を繰り返す小国。
この3国は小国だからこそ国家主権(国家の独立性)に鋭敏であり、時に大国に攻められても、簡単には滅びす一矢報い、侵略されてもゲリラで応じ、自国王朝が滅亡しても、大国の侵略者が撤退するのを何十年も待ち、反撃して国を取り戻す。大国の隣国に位置する小国で、独立を維持している国は、政府も国民も意識は小国の主体性をもち備えている。国家がなければ植民地と化し、滅亡し、国家分断され、大国に乗っ取られてしまうことを知っている。3国が独立を維持できたのは自分の国のことは自分達で決められる国でありたいからだ。また、自分達のことが、自分達で決める権利がなく、他国によって決められることがいかに悲惨で苦しいかを知っている(理解している)
日本は軍隊を持たず、徴兵制もなく、政府も国民も、最重要な国家主権(国家の独立性)についての意識が掛けている。敗戦の75年前より、日本は実質的に半国家主権状態(国家は半独立状態)に陥り、未だに回復していない。また75年前より国民は押し黙り、現在でも国民間でタブーの領域であり、国会でも盛り上がらないテーマとなっている。
フィンランドやベトナムやキューバなどの小国と現在の日本は、根本的に軍事力や国家主権(国家の独立性)の認識が違う。よって「現在の日本には決定的に危機感が欠如している。」ソビエト連邦が崩壊しても、米中覇権戦争が始まっても危機感が全くない。すでにこれだけでも日本は75年前に忘れ去られた、大きな落とし物によって、現在でも実質的に半国家主権状態(国家は半独立状態)にある、恐るべき危機状態と言及するしかない。そんな危機状態のまま、米中覇権戦争に巻き込まれようとしている。
米国が東アジアから撤退したあと、小国フィンランドやベトナムやキューバのように戦い、耐え、立ち向かい、独立が維持できないように感じる。そもそも軍隊がなく、国家主権(独立性)を意識しようとしない国は、独立は維持できない。戦争に運よく巻き込まれないことで、独立性が約束されるのか?滅亡が少し延ばせる効果はあるかもしれないが、本質的に小国として生き残る条件ではない。
2030年、米国が経済復興と成長に成功しているか、東アジアの米軍を増強させられるか、両方成功すれば、日本はすぐに小国扱いと、敵大国の侵略は受けないで済む可能性がある。しかし、これは米国の問題で、米国益の問題で、かつ成功するかしないか全く不明である。日本は何もせず、運命を米国にあずけようとしている。自国の運命を他国に委託するとはどういうことか?国家主権(国の独立性)を確保していない状態である。国家なら米軍のアジア撤退を想定して準備するしかない。日本は米国が撤退してもしなくても、中国が敵でも味方になっても、日本の国益のために厳しい未来を想定して経済の復興と軍事力の準備を行うしかない。現在の「貧国弱兵」への道を「富国強兵」への道に転換すべく早くスタートすなければならない。戦後から現在の日本人にとって、天動説から地動説への大転換が必要と思われる。
実現すれば、再び経済成長と再軍備を実現し、米中覇権戦争がどのような方向にあれ、世界大戦に至っても、日本は国益を徹底することだけの主眼で、植民地になったり、再び戦場になったり、国家主権(国家の独立性)を完全に失ったりする可能性を低くすることができる。そのような国民は万が一滅亡しても再び国を取りもどす希望も残る。
しかし現実は、さらなる貧国弱兵へと進んでおり、自力での国益追求は未透視が立たず。大国の隣に位置する小国として、よくて戦争に巻き込まれず、戦後のフィンランド(ソ連崩壊までの)のように政治的に経済的に抑制された不自由な、より国家主権が薄い、より独立性がない、アセアンの一員のような小国として、長期間、小さく存在する・・・・これは現在の日本にとって最善のシナリオだ。
実際の歴史は予測より困難で悲惨であることも多い。現在の日本を大戦後のフィンランドと比べるにあたり、やはり日本は国家の独立性や意思を欠いていると確信する。戦争に巻き込まれない想定より、戦争に巻き込まれる想定をすべき。国家主権(独立性)の意識が薄く、経済成長を30年できない国が、さらに国防も意識しなければ、そのような国家は「本質的な国益」の追求ができず、これでは、大国間の戦争に巻き込まえた場合、最悪の状況も想定される。
想定:【日本は没落が止められず、再軍備できないまま、再び戦場と化す、米中覇権戦争の最前線や緩衝地帯となり、東西2つの日本に国家は分断。長期間、日本人同士憎しみ合い、殺し合う。滅亡・亡国以上に悲惨な時代が到来する】多くの日本人はこの想定は小説にしか聞こえない。どこが小説だろうか?今、日本が米中覇権戦争に巻き込まれたら、国家はすぐ、日本列島が戦場になる想定をする必要がある。どれだけの準備が必要か、手遅れか、米国の学者もリアリティを持って、75%は激突する想定をしてもいいのではないか、と警鐘を鳴らしたのだ。しかし戦争は、国民にとって「まさか」の想定外である場合が多い。歴史が証明している。日本は米中覇権戦争に巻き込まれ、国土を再び戦場にしてはならない。「幕末、日露戦争前、日米開戦前」以来である「4度目の大国に侵略される国家危機」を、現在、ほとんどの日本人は感じていない。やはり、今回の戦争も突然「まさか」で始まるのだろう。
バリチリブログ
現在の日本国は第二次世界大戦前のイギリスやフランスの立場に酷似しており【寝耳に水で】米国に「中国が軍事行動したら参戦せよ」と米中覇権戦争に巻き込まれる(米中の本土決戦や核攻撃よりも前に、日本や朝鮮半島が戦場となる)
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